2008.11.02
今日は先日買った『プライムナンバーズ -魅惑的で楽しい素数の事典
』という本を読んでいたんだが、翻訳の酷さにぶちきれそうになった。
この本は素数に関する色々なネタの事典をabc順に並べたもの、ということで、後に定義がでてくるものが先に使われたりしていて、どう読んでいいものか悩ましいんだが、翻訳の酷さがその読みにくさに拍車をかけている。例えばp.46では、
『ディクソンは1904年に、…(中略)…を満たすnの値が無限に存在します。』
と日本語になっていない文章が出てくる。これはまだ可愛いほう。
p.53では「7で割り切れるかどうかの判定の難しさ」を述べた後に、
『他の数については容易に判定できる方法があります』
とあるが、多分これは
「他の数については容易に判定できる方法があることもあります。」
の間違い。上だと『他の数全てについて容易な判定法が存在する」ことになるけれど、そんなことないよね?
p.68。ポール・エルデシュについての項では『素数の逆数の和は収束する』などと嘘を書いている。ちゃんとp.83では『素数の逆数の和が発散する』と書いてあるのだが。大体p.68の文脈は「単調増加数列の逆数の和が収束しない場合に○○が言えるという予想があるが、その結果を素数の列にも適用できる」という展開なので、ここで収束されたら論理的に困るのだ。チェックすれば簡単に見つかった間違いなのに、編集部もわからなかったのか?
その他、数列Pnを定義した後Pnを全く使わなかったり、おそらく関係代名詞まわりを直訳しすぎて日本語の流れがおかしかったり…とにかく疲れる。監訳者の人何やってる人…?情報科学系?整数論の専門家じゃなくて?
オライリーさん、数学の本を出すなら、ちゃんと専門の数学者を監修につけてよ!
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2008.05.05
それは昨日のこと、『疑似科学入門 (岩波新書 新赤版 1131)
』なる本を本屋で発見したのであります。著者は物理学者の池内了先生。ぱらぱらと立ち読みして、ううん、これは、いまいちでは、などと頭を抱えていたのであります。
で、今日はこの本について書こうと思っていたのですが、何分立ち読みで読んだだけでは読み間違いその他がないか不安になる。人を批判するときは慎重になりたい。
ということで、今日改めて本屋に行き購入。
まあ、700円だし。スープカレーを一回我慢してなか卯の牛丼にすれば済む値段だし。
ざっと読み直してみたけれど、うん。初見とそれほど感想が変わらない。
まずこの本では擬似科学を3種類に分類する。占い、血液型判断、超能力、『擬似宗教』などの第一種。マイナスイオン、クラスター水などの商業と結びついた第二種。そして環境問題などで、『地球温暖化は二酸化炭素のせいかどうかは不明である』などと判断を停止する主張を第三種と名づけている。
そして第一章、第二章では第一種、第二種の擬似科学について解説、第三章で擬似科学の流行る背景を述べ、第四章で第三種の擬似科学について述べ、最後に擬似科学と科学の見分け方について纏めている。
しかし、この本の内容は納得が行かない。例えば血液型性格判断にしても、否定的な実験結果を出した結果を引用せずに『間違っているに決まっている』と断罪する。他にも、さまざまな擬似科学を批判するのはいいが、批判の根拠を示さす、単なる著者の独断である印象を与えている。第三章に到っては完全な独断。擬似科学が流行る背景にあるのは科学が発達してすべて「お任せ」な社会になったからであり、その結果として皆が情報に対して受動的になったせいだ、と述べるに到っては、そのように判断する根拠は何?と思わず問い返してしまう。
他の擬似科学本では触れられていない、『第三種擬似科学』についても疑問がある。この本では、地球温暖化のような複雑すぎて現在の科学では正しいかどうかわからない問題については『予防措置原則』を用いるべきだ、と述べる。『正しいか間違っているかわからない時は最悪の場合を想定して動こう』という立場である。これ自体は、最近の環境問題などでは比較的よく使われる原則である(とはいえ、『予防措置原則』に外れるぐらいで疑似科学呼ばわりはどうよ?という疑問はある)。
しかし、『正しいかどうか分かる』ってのはどういうことだろう。例えば著者は「遺伝子組み換え作物」について、「安全と呼ぶにはまだ調べるべき項目が多くある」という。これは正しいかもしれないが、では何を調べれば安全と言い切れるのか、という問題については全く答えていない。これに答えてもらわないと永遠に遺伝子組み換え作物は「安全」にはなりえないんだが…。
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2008.03.11
今朝の札幌は久しぶりの雨。真冬の雪より冷たく感じるのは、気温が低すぎて融けない雪に比べて、水が冷たく体の熱を奪っていくからだろうか。
そんな寒すぎる一日なので気分転換に『サナギさん 5 (5) (少年チャンピオン・コミックス)
』を購入。
相変わらず施川ユウキはひねくれて物を見ることとくだらない事を考えることにかけては天才だ。「毒々しい赤、無数に並んだツブツブ、産毛…イチゴというのは冷静に見るとかわいくない」という発見から「イメージ戦略を仕掛けたイチゴの黒幕がいる」という発想にはどうやったらたどり着くのやら。
しかし個人的に心に響いたのは、主人公のサナギさんが三角形を沢山書いて、『内角の和が180°にならない三角形を見つけてみせる!』と頑張っている1コマ。私も数学だの何だので新しい定理を見るたびに―しかもその定理が素晴らしければ素晴らしいほど―絶対何か騙されているに違いないと感じ、あれこれと穴を探したりいろいと試したりと試行錯誤を繰り返す。定理を読んでへーそーなんだと納得するような素直な人間では研究者なんて出来ない。私と共通するサナギさんはきっと理系向けに違いない。…さもなくば、私が理系向けでないかだが。
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2008.02.07
『スティグリッツマクロ経済学 第3版
』読み終える。
うん、判りやすいとは思った。思ったんだけれど。
いろんなものを数式で書いて欲しかったなあ。理系の人間としては。
グラフを書いてこの交点が重要でこれがこー動いて…などとやるのだけれど、微分方程式とかで書いていただければ一発で判るのに…などと思ってしまうのは物理だの数学だのやっている人間だからですか?
あと、『ミクロ経済学』の時も思ったのだけれど、スティグリッツ先生、そんなにIMFが嫌いですか?
90年代の東アジア通貨危機や東欧民主化の際のIMFの政策に対する攻撃が半端ねぇ。
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2007.01.04
今日から研究室は正式に仕事始め。とはいえまだ人は少ない。学生さんたちはまだ冬休みだろうしなあ…。
『理工系のためのトポロジー・圏論・微分幾何』読み終わる。いかにも物理の人が物理の人のために書いた本であった。だって、ほとんどの定理は証明しないんだもの。その代わり、この定理がどーゆーことを言わんとしているのか、とか、どういう現象を頭においてこういう事を考えるのか、というところを丁寧に例示している。予備知識も必要無いように書いてあるので、数学専門ではない人でも十分に読める。うちの研究室でもトポロジー関係の話を聞くことがしばしばあるけれど、これを読んでおけばそれなりに話は分かるようになる…かな?
ただし真面目な数学者がこの本を読んだら怒り狂うかもしれない。なにせ、証明はしてないわ、定義よりも具体的な例を重視するわ、数学者からみたらいい加減極まりない本のような気がする。ということでこの本は数学者の目が届かないところで読むことをお勧めする。まあ、数学は確かに大事だけれど、数学者のいう事を全て真面目に聞いていたら物理なんてやっていられない。デルタ関数はおろか、三角関数を使うだけで二乗可積分性がどーのこーのと文句をつけられかねん。
それはともかく、この本、ホモトピー、ホモロジー、圏論、微分幾何と解説するのはいいんだけれど、最後の応用例に出てくるのが微分幾何オンリーとはこれ如何に。やはり微分方程式で記述される物理の世界では、ほかの連中の出番はないのかねぇ?
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2006.12.28
正式には仕事納めの今日。生協書籍部に行き、正月の友となる本を探していた私の目に飛び込んできた本が。
『マンガでわかる物理 力学編
』
…ついに萌え物理本キターーー!!
パラパラとめくってみたが、テニスをネタに力学について語っているようだ。まあ、力学って物理の中では日常に近いし、実験もしやすいからねー。量子力学なんかだったらどうしようもなく難しい。朝永振一郎の『光子の裁判』を見習ってファンタジーにしてしまうとかしか思いつかない。主人公の前に現れる謎の少女。その少女は何故か大きなプランク定数を持っていた、みたいな。
それはともかく。
『萌え』本の最大の欠点って、ほぼ男性しか買わないことなんだよな。物理の業界というのは女性が少ないので、どーせなら女性にアピールする本の方が欲しいのですが。
例えば、最近『執事喫茶』なんてーのが秋葉原に出来て人気があるそうじゃないですか。だったら、ツンデレのヒロインに執事が物理を教える本なんていかがでしょう。ツンデレヒロイン目当ての男性客と、執事目当ての女性客、両方をターゲットにできて一挙両得!とか?
などと妄想していて、結局本を買うのを忘れたワタクシ。ま、研究室の蔵書で面白そうなものでも借りて帰りますか。
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2006.12.17
休日。することがないので、久しぶりにこのブログの『本のリスト』に手を入れる。右側の方に並んでいる奴ね。うーん、やはりマンガが多いなあ。『フェルマーの最終定理』と『生物集団の数学〈上〉人口学、生態学、疫学へのアプローチ
』が浮いているではないか。『フェルマー』はともかく、『生物集団』の方は、研究に関係するかもと思い買ったのだが、とても数学な本だったので証明とかは全部読み飛ばしてしまった。やはり数学と物理では違う。物理の場合は具体的な方程式が与えられて、それから物語がはじまるわけだが、数学の場合は一般的な方程式を考えて、この方程式のこの項が以下の条件を満たすときはどうこう、などということを考える。お陰でそれがどういう方程式を考えているのか物理の人間にはピンと来ないことが多い。困ったものである。
困ったものといえば、この本は「上巻」なわけで、いつ「下巻」が出るのかというのも悩みの種だな。私が下巻や続刊を待っている本はかなり多いのだ。ティンカム『超伝導入門第2版』とか『科学論文の英語用法百科』とか…。
午後。札幌駅周辺を散歩。『皇国の守護者 2 (2)
』を購入。しかし駅内の小さな書店のみならず、旭屋、紀伊国屋といった大書店、さらにマンガの充実が売りの筈の書店にすらないとは、なんという供給量の少なさであろうか。結局大丸に入っている本屋で発見したが、そこにあるのも2巻の平積みが4冊程度、最新刊の4巻の平積みが一冊のみで1巻3巻は発見できなかった。
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2006.12.10
今日も本屋に『サナギさん』は見つからず。札幌駅の紀伊国屋書店には明日入荷だとか。うーん、明日から東京出張なのだが…。「出張前に本屋で見かけて購入→プレゼンの作成そっちのけで没頭→翌日のプレゼンぼろぼろ」という3段コンボが目に見える~。
…まあ売っていないのは仕方ないので、ブックスカフェで珈琲を飲みながら『ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
』を読む。半分ぐらいまで読んだが、これはなかなか面白い。経済学の手法を用いて、八百長のインセンティブ、KKKと情報の経済、麻薬密売組織の構造などを明らかにしていく。また今度機会があったら後半も読もう。
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2006.10.24
公募書類を郵便局まで持っていって送付し、帰り際に古本屋に寄った時。
ワタクシの目に飛び込んできたのがWolframの大著、『A New Kind of Science
』。
Mathematicaというソフトを作ったことで有名なウルフラムだが、元はといえば彼は物理学者。彼が研究を行った「セルオートマトン」というモデルの、いわば百科事典とも言える大著である。1000ページを超えるこの大著が古本屋で3200円。安い!安すぎる!!と思って購入。
安い買い物をしたと喜んだが、実はamazonで調べると、この本、新品でも7000円以下。科学の本で、このページ数で、その値段って一体…と思ったが、良く考えたら、この本、出版しているのは自分の会社であるWolfram Media。つまりこの本は、いわば社長が自分の道楽で書いた本の自費出版。きっと最初っから利益なんぞ上げる気ないのであろう。恐ろしくハイレベルな道楽だが。
買うほうとしては安く買えるので有難いのだけれど、なんか、道楽でこんな研究ができるなんて嫉妬してしまうの、俺だけ?
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2006.08.06
暑いのでクーラーのあるところへ行こう。
ということで、散髪に行った後、ネットカフェで3時間ほど寛がせていただく。いろんなマンガを散漫に読む。帰り際、本屋によると、『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件
』なる本があったのでパラパラとめくっ。
…たと思ったら読み終わっていた。
斜め読みとはいえ30分前後で読み終わるか。小説なのに。
話の内容は『DEATH NOTE』の人気ナンバーワンキャラ、Lが人気ナンバーワン女性キャラ、南空ナオミとともに連続殺人の謎に挑むお話。推理小説…のようで実は全然推理小説じゃない、エンターテイメント小説。登場人物の掛け合いとか、なかなか面白かったですが、多分『DEATH NOTE』を読んでいない人間には全く面白くありません。この物語の一番大事な部分に関わってきますから。いろいろ他に言いたいこともあるけれど、どうしてもネタバレになってしまうので、心の中にしまっておきます。
にしても、だ。
Lと南空ナオミ、『DEATH NOTE』の2大人気キャラの競演だ、というのに、だ。
どーーして小畑健の挿絵とかが一つもないのですか?
いや、この小説の挿絵、描きにくいのは分かるんですよ。理由は詳しく言うとネタバレになるので書きませんけども。それでも色々手はあったでしょうに…。
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2006.08.02
今日は研究会とミニシンポが一つづつぐらいあるのだけれど、心に余裕がないので研究に専念。午前中はひたすらモデルを考え、午後はプログラムを組み続ける。
夜。『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語
』を読み終わる。バージェス頁岩の生物について知りたいと思って読み始めたのだが、本書の真のテーマはバージェス頁岩の生物ではなく、生命の進化は偶然に強く左右されるという主張なのであった。面白いけれど、長すぎるよこの本。文庫で600ページ弱。長さの最大の理由は、グールドさんの話がくどいせい。ウィットに富んだ比喩とか引用とかを多用するし、予想される反論に関してはそこまで言わんでもというぐらい完璧に叩き潰す。少し手を入れれば、300ページぐらいで全内容を纏められそうだ…。
なお、以前のこの日記に、表紙のハルキゲニアの図が本文と逆ではと書いたが、最後の訳者あとがきによると本が書かれた後に表紙の向きが正しいことが判明したのだそうだ。さらに言えば、最近の研究によれば、本書の内容ほどバージェス頁岩の化石はトンデモナイ代物ではないという。おいおい。
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2006.07.23
WWWをぐるぐるしているうちに、タイトルを見ただけで是非読みたいと感じた短編小説があったので本屋さんへ。『怪談部屋 怪奇篇―山田風太郎ミステリー傑作選〈8〉
』に載っているらしいのだが…。
ということで二、三軒回ってみたのだが見つからない。うーむ、やはり山田風太郎はマイナーなのであろうか。仕方がないので喫茶店で『ビッグバン宇宙論 (上)
』を読んで帰ることにする。やはりサイモン・シンは文章が上手い。科学的内容の説明と歴史の紹介のバランスが絶妙。多少科学史的には?なところもあるけれど、啓蒙書に正確で詳細な科学史を求めるのは酷な気がする。
ということで、探していた本は見つからなかったが、それなりに満足して家に帰る。
え?読みたかった短編小説のタイトルは何かって?
…
……
『うんこ殺人』。
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2006.07.07
朝。大泉洋がテレビに出ているのをつい見てしまう。私もすっかり北海道に馴染んでしまったということか…。
今週は生協で文庫本三冊買うと10%割引券+ポイント5%で実質15%オフ、ということで生協で文庫本を物色。最初の『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語
』と『素粒子と物理法則―窮極の物理法則を求めて
』はあっさり決まったが、3つ目に何を買うか散々悩んだ末、北海道大学らしく中谷宇吉郎先生の『雪
』を購入。ちなみに『ワンダフル・ライフ』は以前『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
』を読んだ時に気になっていたから。『素粒子と物理法則』はファインマンの講演が面白そうだったから。
しかしこれを読み終えるのはいつになることやら。
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2006.06.02
生協書籍部にふらふらと行くと、文庫版の『フェルマーの最終定理
』を発見。文庫になってたんだー、とふらふらと購入。
計算機にジョブを投入して、ちょっと気分転換にぱらぱらとめくっていたら、いつの間にかはまって170ページも読んでいたよ!これは確かに面白いわ。個人的には文庫のオビに書かれた『小川洋子さん推薦』という宣伝が気に入らないけど。俺の中では『フェルマーの最終定理』>>>>>『博士の愛した数式』なので…。
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2006.05.04
ゴールデンウィークなので、いつもより早めに研究室を出て喫茶つき(本持ち込み可)の本屋へ行き、『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
』を最後まで読む。
やはり予想通りというか、結論としては、『カンブリア大爆発は三葉虫が眼を持ったことによって起こった』という説である。それまではクラゲのごとくふよふよと漂いながら餌を摂る肉食動物しかいなかったが、眼を使ってアグレッシブに餌を探すハンターの登場により、みんながあれこれ防御方法を開発しまくったのがカンブリア大爆発なのだとか。
そこへ至る論理には説得力があるし、色々知らなかったことも多くてなかなか面白かった。しかし、わずか一種類の生物の進化が、既存の生態系そのものを破壊し、再構築してしまうというのは、良く考えればかなりトンデモナイ話ではあるまいか(まあ、かくいう人間も相当既存の生態系を破壊しまくっているわけだが)。
と、思ったのだが、どーも著者によると、その、三葉虫が眼を持った理由というのが、どうもあの時期に地上の太陽光が強くなったためだ、というので、その辺ちょっとがっくり。
外的要因によって進化の爆発が起こった、というのよりも、なんか、進化の途上で自発的に爆発が起こったりする方が楽しいのに、と考えるのは、パターン形成とか創発とかの思想に染まりすぎかしら?
あと、この本を読む前にグールドの『ワンダフル・ライフ』あたりを読んでおくべきだったな。アノマロカリスのあの獰猛な姿、とか言われても全然わかんねー。やはり次読むならその辺かなぁ?
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2006.04.23
2次元な美少女と擬似恋愛を楽しむ、いわゆる「萌えゲー」とやらがメジャーになって久しい昨今ですが、なかなかこのジャンルも苦しくなってきたのでは、と思うことがあります。
大体、この手のゲームは個性的なキャラクターが命。購買層のオタク男子に人気が出る個性的なキャラクター…なんてそうそうバリエーションがありません。
で、一つのバリエーションの作り方として、人間以外のものを擬人化する、というのがあります。犬とか猫とかね。
で、それは分かっていたんですが、しかし、さすがに、カンブリア紀の生き物を美少女化したゲームというのを雑誌で見たときには目が点になりました。いくらなんでもそりゃマニアックすぎるだろ。アノマロカリスとかハルキゲニアとか言われても、名前はともかく形なんて知らねぇよ!
…ま、そんな訳でオタクにも大人気のカンブリア紀の生物ですが。本日本屋で立ち読み(というか、本屋付属の喫茶店で座り読み)してきたのが、こちら『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
』。カンブリア紀に一気にあらゆる生物が硬い殻を持つようになった、いわゆる『カンブリア爆発』(それまで5種類ぐらいの門しかなかった動物種が突然32種前後にまで増えた現象をカンブリア爆発と呼ぶ定義もあるが、この本ではその立場をとらない)の原因に関する新説の提示を行う本である。ちなみに著者のアンドリュー・パーカーさんはまっとーな研究者みたい。Google Scholarで「Andrew Parker」で検索した感じだと、Proceeding of Royal Society Bに載ったこの論文が元ネタ…というか元になる主張を書いた論文のようだ。
で、本の内容なんですが。
喫茶店で2時間ほど粘って、400ページ弱のうち130ページばかり読みましたが、まだその新説までは辿りつけておりません。ただ、コンピュータやDNAの知見を駆使した最新の古生物学の手法や、琥珀の中の蚊から恐竜のDNAが採取できたというのは実験のミスで間違いだったとか(ジュラシックパークが…)、カメレオンの色の変化の方法(色つきの細胞の形を変化させているんだってさ)、などなどなかなか興味深い話がありました。うーん、やっぱ進化論って結構楽しいなー。
しかし、あと三分の二ぐらい残っているから…あと2回は通わなきゃならんかなあ。
ただ、一つ心配なこと。
新説の内容って、この本のタイトルでネタバレしてないかい?
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2006.03.26
明日から行く学会の準備。本当は学会自体が明日から始まるので、今日の飛行機で行きたかったんだけど、チケットが取れなかったのよねぇ。札幌-松山は一日一便しかないからなあ…。
午後、学会へ行く飛行機や電車の中で読む本を買うべく札幌駅の本屋に向かう。論文を読んでもいいんだけど、A4にプリントした論文は大概鞄の中でぐしゃぐしゃになってしまうのだ。で、本を買う前に、大丸の上にある、隣の本屋の本持込オッケーな喫茶店で『「植物」という不思議な生き方
』を読みながらお茶。植物にポリフェノールが一杯あるのは、昔対細菌兵器として使っていた(今では細菌の方も進化して全く役立たずな兵器になっている)活性酸素を取り除くためだ、とか、最強の昆虫アリ(なんせ数が多いからな)と植物の微妙な関係、花の色と形はどの虫に花粉を運んでもらいたいかによって決まっている、などなど非常に興味深い。短時間で読めちゃうので今回の目的には向かないけど。
その後、大きな本屋に行って3時間ほど悩む。個人的には、学問に関係する本で、そこそこ頭を使い、かといって手で数式を追わなければならないほど難しくはなく、内容が新鮮で刺激的であり、読むのに数時間かかり、持ち運びにかさばらないサイズの本がいい。
我ながら注文が多い本選びである。
ということで悩んだ末、『疑似科学と科学の哲学
』を購入。そういえば今回の物理学会で『ニセ科学とどう向き合っていくか』とかいうシンポジウムもあったなあ。聞きにいこうかな?
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2006.03.01
『皮膚は考える
』読了。
皮膚というのは軽く見られがちな『臓器』であるが、この著者の最近の研究によると、皮膚は電池として働き、免疫系の最前線として働いている。それどころか、セロトニンやドーパミン、メラトニンといった神経の情報伝達物質にも反応し、神経細胞のようにイオンチャンネルを開く…要するに神経と似た性質を持っているらしい。
で、著者曰く、実は皮膚の中でも神経系と同じく情報をやりとりをしており、皮膚がもう一つの脳となっているのではないか、と。
残念ながら実験ではそこまで確かめることは未だ出来ず、神経伝達物質が皮膚の再生に影響するとか、そのぐらいまでしかデータがないらしいのだが。
確かに興味深い話である。
皮膚も神経もどっちも外胚葉由来とはいえ、神経伝達物質に皮膚が反応するのは何の意味もないとは思えない。それでも私には皮膚が第二の脳とは思えないんだけれど、そこは皮膚の研究を深く行っている研究者にしかわからない何かがあるのだろう。面白い。
でも、読んでいて思ったけれど、この著者、ここまで腰を低くしなくてもいいのになー。
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2006.02.27
昨日近所で起こった火事は、どうやら落雪がガスボンベに当たってボンベが倒れたのが原因らしい。北海道では何故か天然ガスよりプロパンを使う家が多いからなあ。ひょっとしたら昨日読んだ『喰いタン』に書いてあった、プロパンの方が天然ガスより発熱が大きいという話が関係あるのかもしれない。それはともかく、燃えたビルの一階には確か結構評判のいい洋食屋があったらしいのだが、まだ行ったことがなかった。一度行きたいと思っていたのだが、行く前にこんな事になるとは…。などと暢気なことを考えられるのは死傷者がいなかったからなんだけど。
生協で『「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ
』をぱらぱらと立ち読みする。書いた人知り合いだし、買いたいんだけど、金欠なんだよねえ。ぱっと見た感じでは、かなり良く書けているようなんだけど…。
研究室から帰り際に、『皮膚は考える
』を借りて帰る。皮膚は内臓(というか、体の外側にあるから、外臓?)の一種であり、電気を感じ取り、免疫を司り、あまつさえ脳と似たような機能まで持っている、という話であるらしい。ある人に面白いと薦められたのだが、確かになかなか面白そうだ。
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2006.02.11
一晩寝たら昨日のショックが少し落ち着いた。自分の証明も改良できそうな気がしてきた。まずはよし。でもやはり論文の締め切りは今月末に設定しておこう。
昨日生協で思わず買ってしまったのがディラック『一般相対性理論
』。ちくま学芸文庫で出たというのは驚きだが、去年末から『ちくま学芸文庫Math&Science』というのができたらしい。ちなみに他のラインナップを見ると、ヒルベルトの『幾何学基礎論』に、ダイソンの『宇宙をかき乱すべきか』、3月の近刊にはブルバキ『数学史』などなどと、かなり濃厚な絶版専門書が多い。特に物理・数学の名著を数々出版しながら、最近はみんな絶版にしてしまった東京図書の本があるのが個人的にうれしい(ディラックの『一般相対性理論』もその一つだ)。この調子で『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程』あたりを復刊してくれたら嬉しいんだけど…。
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2006.02.07
来週の研究会のポスターは大体できた。
『Mind Hacks』読了。
まずもってタイトルが良くない。ハッカーなんて世間ではヤバイ意味で使われているのに、「心をハック」なんて言ったら洗脳とか薬物とか脳にチップを埋め込んでとか、そういうのを想像してしまうではないか。まことによろしくない。
本当の内容は、簡単な実験を通して、どのようにして脳が振舞っているか(例えば高速化のために手抜きをしているか)を知るという本であって、これが非常に面白い。例えば『右手は右側からの刺激に素早く反応でき、左手は左側からの刺激に対して素早く反応できる』とか、『何かに注意を向けると、ほかの事を0.5秒間は認識できなくなる』などといった事実はソフトのユーザーインターフェースとかを作るときに役に立つかも知れないし、『動いているものに注意が行くのは人間の本能である』といったことはプレゼンテーションを作る際に参考になる。まあ一番役に立つのは、飲み会の席とかで『人間の脳は10%しか使われていないというのは嘘』などをネタとして使う場合だろうが…。
しかし個人的に気になったのは最後のhack。
なんと「5分間大学教授について考えるとテストの成績が上がる」のだとか。ある種の人の行動を思い浮かべるだけで、自分の行動がそれにそったものになる、『典型活性』という現象なのだとか。
…じゃあ、毎朝『ご冗談でしょうファインマンさん』を読んだらファインマン先生のような研究が出来ますかね!?(『ランダウの生涯』、『神は老獪にして…アインシュタインの人と学問』『放浪の天才数学者エルデシュ』とかでも可)
もしそうなら、絶対読むんですけど…。
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2006.02.02
ということで、『脳とクオリア』読了。
著者の主張に全く同意できないところも多々あるけれど、いろいろと考えさせてくれるという点ではいい本だと思う。
ニューロンの発火のネットワークが認識や意識を形作るものであり、一つ一つのニューロン自体の性質を調べるのは重要ではあるけれど認識や意識の本質には迫れない、という主張は正しいと思う。というか、私の感覚としてはもうこれは『当たり前』に近い主張なのだけれど、その辺は人によって考え方が違うだろうから。
ただ、後半の『「理解」するとはどういうことか』とか『生と死と私』、『私は「自由」なのか?』あたりの論考には同意しかねる。
例えば、『生と死と私』では、「眠っている間は意識がないのに目覚めた後と前で私という意識が同じ私であるとはどういうことか」という疑問から出発して、「私は原理的には決して死ぬことはない」という結論が導かれるが、ここは全く納得がいかない。多分問題は『眠っているときは意識がない』という主張にあるのだと思う。眠っていたとしても、刺激を受けたときに無意識に手を動かすとか体を動かすとかいうことがあるわけで、意識をある・ないと二分してしまうことに問題があるのではあるまいか。実際、医療の分野では意識の混濁度合いを示す『意識レベル』などという言葉もあるわけで、眠っている状態は意識レベルが低いだけじゃないのかなあ?
…などといろいろと著者の主張には納得いかねる部分があるわけだけれど、少なくとも、読み手に考える機会を与えてくれるという点ではいい本であろう。
で、一般の人にとってはそれでいいとして、研究者としては、いい本か否かの一つの基準に、『研究のヒントになるか?』というのがあるんだけれど、それは、どうかなあ…?
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2005.12.17
朝。論文が出版受理とのメール。TeXファイルとか送ってくれたら嬉しいなってことなので、午前のセミナーが終わった後そそくさと送る。
送ると一仕事した気分になって緩んでしまったので、読んどこうと思っていた『経済物理学の発見』を一気に読む。
うーん、4章までの為替や株の市場を論じているところまではともかく、5章以降はちょっとどうかなー。
例えば作者の高安先生、インフレは制御不可能だからインフレを目指す政策は間違っている、インフレしたら国の借金が減るとかいうけどそんなもの大した問題ではない、ハイパーインフレになったらどーすんだ、なんて仰るわけですけれど、経済学の教科書によるとインフレの効果はそんなもんじゃないわけですよ。例えばインフレによって投資が促進され(ただ金を持っていても目減りするだけだからね)、その結果として雇用が促進され失業率が下がる、っていうのがかなり重要な効果とされていて、実際インフレ率と失業率の相関曲線(フィリップス曲線)ってぇのが観測されているわけですよ。そしてそれもあって多くの国が年率数パーセントの弱いインフレをターゲットにした政策を取っていて、それはそれなりに上手く成功しているわけで…。高安先生がその辺のことを知らないのか、それとも知っていて書かなかったのか不明なんだけど、こういうとこが経済学の人にAmazonのレビューとかで叩かれたりするんではないかいな、と。
株式や為替市場の投機について分析した前半はデータも豊富で説得力があったのだけれど、後半になると論旨が錯綜しているところも感じたし、実体経済についてはまだまだで、とても経済学者に説教できるレベルではないと思うのだけれどなぁ。
…まあ、まだまだ問題があるというのは、研究者にとっては喜ばしいことではあるのだが。
あとやっぱり論文のリファレンスは欲しかったなー。
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2005.01.29
昨日は研究室の何人かに誘われてボーリングに行きました。
スコアは聞かないで下さい。
『クルーグマン教授の経済入門』、読み終わりました。
くだけた文体は好き嫌いが別れるところですが、非常に良い本だと思うです。
経済に関するさまざまな問題について、その重要度を明らかにしながら、ポジティブネガティブ双方の意見を分かりやすく紹介しつつクルーグマン自身の意見(ってのは大体どっちの意見も極端すぎるというオチなんだが)を述べています。
この『重要度』を明らかにしながら、ってのがミソなのね。
財政赤字?うーんまあ重要かも知れないけどそれほどってわけでもないよね、とか。
高齢化社会は、労働人口が減ると経済成長が止まるから、結構重要かな、とか。
インフレは、そこそこのレベルならあんまり問題じゃないよね、とか。
まあ欠点としては、90年代のアメリカという我々ジャパニーズにはちょっと縁遠くなってしまったものを議論の対象にしていること(貿易摩擦…あったなあそんなもの)と、訳注がちょっとうざいくらいに多いところかしら。
んなわけで最近経済がトレンドになってしまったワタクシ。
次は『経済物理学の発見』でも読んでみようかしら。
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2004.08.16
とりあえず『トンデモ本の世界S』読み終える。笑いが薄まっているのが悲しい。いまさら血液型性格診断を真面目に批判されてもなあ…。
もちろん笑えるネタもあったのだが。「地球の平和に挑戦するから朝鮮半島」とか。高田馬場に現れたオリオンから来たくの一とか。『ジョジョの奇妙な冒険』の1~5部を読まずに書かれた『ジョジョ』第6部、『ストーンオーシャン』の解説本とか。
そういう方向に走ってくれればいいのに、『アポロは月に行かなかった』説に真面目に反論したりするから…。そんなものを真面目に論じるぐらいなら『怪奇千万!十五郎』あたりにツッコミを入れていただきたい。リンク先をたどるのが面倒な方の為に簡単に言うと、『密室殺人のトリック、それは犯人が壁を通り抜ける超能力を持っていたからだ!』という感じの漫画である。いやこの説明、最初に言ったのは俺じゃなくてネットのどこかで見たのだが、あまりにも当を得ていたので使わせていただいた。
とーにーかーくー、「笑わせる」という基本を忘れないで頂きたいのですよ『と学会』には。
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2004.04.25
暇だったので札幌駅にある大丸へ。ここの8階にある書店は、喫茶店と繋がっていて、書店の本を借り出して喫茶店の方で読むことができるのだ。さて何の本を読もうか、と科学関係の棚を見渡した時に飛び込んできたのが『イグ・ノーベル賞』。
…これは「と学会」とか大好きな俺に対する挑戦ですか?確かにイグ・ノーベル賞のホームページはノーベル賞のシーズンには必ずチェックしてしまっていますが。
しかしこの本ハードカバーで2520円。大臣も払っていない国民年金だの、論文のリプリント代だので金がないのに、2500円の出費か…い、いや、まだ負けたわけじゃない!このままこれを喫茶店に持っていって、ざーっと読み流してしまえば、費用はコーヒー代だけで済む!勝負だ!
…30分後、レジで2500円払っている俺がいました。完敗。こんな濃厚な本喫茶店で斜め読みなんて出来んわ。トンデモ本と違って、科学的に正しい(ものが多い)んだよな、内容が。きっと人生においてなんらかの役に立つ知識もあるはず。「大人のアレでもビョーキはうつる」とか。
…はっ!ということは抗菌コートのアレを作れば大儲けできるのでは!少なくとも靴下や下着の抗菌コートなんかよりずっと意味があるわけで!ぜひどっかで開発を!(いかん、今日の日記は18禁だ)。
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