2009.03.08

今日も読書。

朝起きたら、なぜか目覚まし時計が30分遅れていた。
さすがに買い換えんとならんかなあ、と思い、Loftで目覚まし時計を30分ほど眺めるも、購入に踏み切れず。
値段的にはそんなに高くないんだけれど、いろいろ見ていると欲が出ちゃうのよね。機能に。
具体的には、

  • 夜でも見やすいLED表示
  • 時間合わせの要らない電波時計
  • 最近流行の温湿度計
  • 地球にやさしいソーラー電池
  • そして大きくて見やすい文字

ってそんな目覚まし時計ありませんから!ソーラー電池の発電量とLEDの消費電力量、釣り合いませんから!それでも求めてしまうのがハイテクマニアの悲しい性…。

午後。喫茶店で『蛋白質の柔らかなダイナミクス (非線形科学シリーズ) 』を読了。以前読んだのはこのシリーズの1巻なのだが、なんで2巻を飛ばして3巻を読んだかというと、2巻は喫茶店で気軽に読むには計算が厳しすぎるから
で、内容はなかなか面白い。たんぱく質の折り畳みから始まって、たんぱく質の進化、分子相互作用から遺伝子の発現に至るまで、いかに生物が熱的ゆらぎとある時は戦い、ある時は利用しているか、という視点から纏める。こういう一本筋の通った本は好きだし、いろいろと研究意欲が刺激される。

しかし、6000円のこの本は買える(科研費で、だけど)のに、2000円程度の目覚まし時計は買えない私って…。

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2009.03.01

日曜なので読書。

日曜日なので読書。『量子渦のダイナミクス/砂丘と風紋の動力学 (非線形科学シリーズ) 』、読み終わる。
どーいう理由で、量子渦と砂丘のダイナミクスが一つの巻にまとまっているのか、そこんところは謎だが、勉強になった。対象は物理の4年から院生あたりか。前半、量子渦なんて面白いんだろうか、と最初は思っていたが、なるほど確かに渦の衝突や乱流といったダイナミクスはなかなかに面白そうだ。この本で見る限りでは、まだ計算機に任せた力押しっぽい印象はあるが…。後半砂丘の風紋の方は、力押しよりもオートマトンのような単純化したモデルでの研究が中心で、前半とは対照的なアプローチ。部分的には学会などで聞いたことのある話が多いのだが、こんな形でまとまって読めるのはありがたい。文章は後半のほうが面白かったかな。

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2009.01.26

『統計力学』を読んだ。

田崎先生の『統計力学〈1〉 (新物理学シリーズ) 』『統計力学〈2〉 (新物理学シリーズ) 』を読み終わる(もっとも、喫茶店や布団の中で目を通した、というレベルなので、計算などは追っていないが)。
いい本だとは思うけれど、やっぱり統計力学の持つ『もやもや感』を払拭してはくれなかったなあ、というのが正直な感想。

まず、前提として、量子力学の知識を持っていることは必須だと思う。一応簡単な量子力学の解説はあるけれど、やはり量子力学の知識がないとつらいし、おかげで周りの数学の人間にも勧めづらい。
で、それを前提とした上で、数学的な導出は丁寧だし、極限操作なんかもちゃんと上と下から挟み込んできっちりやっているし、誤解を招きやすいところには大量に注が入っていて、誤解を避けるように丁寧に書かれている(とはいえ、12ページのように本文3行、注残り全部なんてのはやりすぎだとは思うが…)。さすがにこの辺りは、数理物理学という厳密な話を専門としている人の本だという気がする。

で、それはそれとして。

統計力学で一番騙された気分になる、統計力学の基礎付けのところなんだが。

多くの本には『エルゴード仮説』なんてのが書かれていて、さも数学的な基礎付けがなされているように見えるが、この本ではそれでは駄目、と一刀両断。駄目だという理由も納得できる(大体、統計力学で最初に学ぶ、古典理想気体って、エルゴード性満たさないよね?)。
で、代わりに出してくる原理は、「マクロな量子系では、ある平衡状態で許される量子状態の殆ど全ては、熱力学的測定では区別できない」という原理。
これを仮定すれば熱力学が導かれる、というのは判るのだが、なぜこの原理が成り立つかは、『きわめて非自明な問題』とは述べられているのだが、私には、そーですね、とパッと受け入れられる主張ではない(そういえば、この本、色々な命題に対して「これは証明されている」「これはまだ証明されていない」とか書かれているのに、この原理に関してはどっちとも書いていないな。どっちなんだろう?たぶん証明されていないと思うけど…)。

ということで、やっぱり、私にとっては、統計力学というのは『もやもや』しているのである。

ま、別にそれはこの本の欠点ではなく、統計力学の欠点なわけだが。

あと、通常の統計力学の本よりも「厳密な結果」を重視しているように見えるあたり、いかにも数理物理学の先生の書いた教科書だなあ、という印象が強く残った。

もっとも、その厳密な結果の証明は、この本の内容を大きく超えるわけで、それは参考文献に委ねられるわけだけれど。

その参考文献がまだ出版されていないってのはなあ…。

そこだけは明らかな問題点として指摘してよいのではあるまいか?

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2008.10.15

あきらめないこと、それが大事。

風邪治ったー。めでたい。

朝から書類を書いたり、授業の準備したり、月末のセミナーの準備したり、ジョブ飛ばしたり。
そんな忙しい今日目にとまったニュースが、東北大が新しい手法で超伝導体を作ったというこのニュース
このニュース、何が気になるって、この超伝導を作成する手法。昔ショーンという物理学者が実験で成功したと報告したが、後に全て捏造だったとわかった、そういう手法なんですが。

捏造がわかった後、多くの研究者がこの手法から手を引いたと思ったんだが、まだ頑張っていた人、いたんだあ…。流石に昔捏造があったネタなので、他のグループの追試を待たないとなんともいえないけど、今度はうまくいくと、いいねぇ。

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2008.04.20

ローレンツ先生を追悼しよう。

飲み会で炭水化物をとりまくったせいで、体重がやばい。少し節制せねば。

『カオス』の概念を提案したローレンツが亡くなったそうな。
そして、著名な学者がなくなると、その人に関連した本を読みたくなるのが私の性である。
プリコジンがなくなった時は彼の教科書を。能勢先生がなくなった時は能勢先生の本…が(少なくとも生協には)なかったので、『能勢―Hooverの方法』つながりでHoover先生の本を読んだりしたわけで。
で、ローレンツ先生がなくなった以上彼の本を…とアマゾンで検索したが、あんまりないのな。amazonでローレンツで検索すると動物学者のローレンツの圧勝だし。一冊だけ『ローレンツ カオスのエッセンス』ってのが引っかかったけど、なんか初心者向けっぽいので、うーん。
ということでローレンツ先生自らの著書はあきらめて、部屋にころがっていた『力学系〈上〉』を読み始める。私の記憶が確かなら、この本を買った動機は『カオスの定義が何かよーわからんのだけどどうなってんの?』というのが気になったからだったと思う。そのときは、『正確な数学的定義は確立していない』なんてところまで読んでがっかりしてその後読むのをやめたのだが、今度は最後まで読めるかな?

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2007.02.04

たまには学問の話を。

本日の札幌、強風、時々吹雪。
こういう日には、家で思索にふけるのも良かろうかと思う(多分、途中で飽きて結局お出かけするだろうけど)。

先週から今週頭にかけて行った研究会は、数学、工学、生物学などの人が集まった学際的なシロモノだったのだが、たまたま生物系だったかの人と一緒に食事したとき、『数学が羨ましい』という話になった。数学というものは非常に進歩が直線的であり、一つの理論が覆ることなどまず絶対にない。確かに理論に流行り廃りはあるかもしれないが、そこまで築き上げられた理論は、厳然としてそこに残る。それに比べてうちの学問は…という話であった。
それに対して、私は「数学と他の学問では進歩の仕方が違うのかも」、と答えた。例えば高温超伝導なんてーのが二十数年前に発見されたが、理論家は最初、山のようにそれを説明する『超伝導理論』を提出した。しかし時間が経ち、新しい事実が分かってくるにつれてそれは一つ減り二つ減り、多分現在生き残っている理論は片手で数えられる程度しかないであろう。このような発展の仕方は、レンガを一つ一つ積み上げるがごとき数学の方法よりは、むしろ生物進化のそれに近いのではあるまいか。事実とよりよく適合する理論だけが選択され、生き残っていくのである。

と、まあ、そのときは話はそれで終わったのだが。
昨日、ふと、『じゃあ進化モデルを科学の進歩に適用できるのか?』と思いついた。進化に関する数理モデルというのは、世の中にいくつかある。しかし、こういったモデルの問題点として、我々が直接進化を見ることが殆ど無いので実証がしにくい、ということがあるだろう。生物の進化の様子などは化石で見るしかないが、化石の情報は不完全である。細菌が抗生物質に対して耐性を獲得するプロセスなんてーのも進化のテーマとしてありそうだが、それにしても進化の現場を見るのは難しい。それに対して、論文のデータはほぼ完全なものが図書館にある。特に高温超伝導あたりになると、オンラインでデータを引けるものが殆どである。とすると、これを使って科学理論の進化のプロセス、というものを研究できるのではあるまいか

…と考えたところで、2つばかり問題点があるところに気づいた。

まず一つ目は、一つの論文が、どの理論に属するのかをどうやって判定するか。人間が読めば分かるのではあるが、できることなら自動化したいものである。これに関しては、情報工学とかを使えばなんとかなるかも知れない。例えば一つの論文グループに属する論文では、引用文献が重なる、ということはありそうな話である。

二つ目の、もっと大きな問題は、この研究は敵を作りかねない、ということである。例えばこの解析を行って、ある理論が環境不適合な絶滅種である、という結果が出た場合、その理論を提出した人間は如何に思うだろうか?高温超伝導の研究者なんて、日本の物理学の中心あたりにいる人間がかなり多いのである。そういう人たちに向かって、『あなたの理論は絶滅危惧種ですよー』などと発言するのは自殺行為に近い

とはいえ、この問題に関して高温超伝導よりも良い題材ってのは、あまり思いつかないのが困ったものだ。大体、理論の進化を調べるには論文の多い題材がよろしくて、論文が多いのは研究者が多いということで、研究者が多いということは当然その研究者が一大派閥をなしているってことなので、結局、どんな題材をもとにしても、敵を作っちゃうんだなあ…。

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2006.06.24

スティグリッツ『ミクロ経済学』読了。

ワールドカップを見ながら読んでいた『スティグリッツ ミクロ経済学』を読み終わる。

まず最初に言いたい。

頼むから微積分使ってくれ

『台形ABDFの面積が〜』とか言われるより、積分で書いてくれた方が判りやすいんですけど。経済学部の人にも基本的な微積分ぐらいは知っておいて貰おうよ。

それ以外のところでは、情報や寡占の効果、ゲーム理論、技術進歩や環境の経済学に触れていたところが面白かったかな。特に気になったのは技術進歩の項でちょっと触れられたシュンペーター的競争のあたり。フツーの経済学が均衡を重視するのに対して、シュンペーターは技術革新により均衡が破れることを重視するらしいのだが、やはりダイナミクスとか研究している身分としては均衡より均衡が破れる方が楽しいわけで、どういう思想なのかちょっと気になる。

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2006.06.05

4年に1度の論文。

昨日は食べすぎで眠れませんでした。
最後に注文したイクラ丼が、こっちの予想の2倍ぐらいの量。しかも通常の3倍ぐらいの量の味噌汁付き。美味かったので全部食べたけど、お陰でおなかが張って…。

というわけで今日は寝不足であまりアタマの回らないまま研究。
おかげで、『Football fever』なるタイトルを論文のプレプリントサーバーで見たときは、寝不足のあまり幻覚でも見たのかと思った。どうやらサッカーの試合における得点の分布を調べてなんかした論文らしい。つーか時事ネタかよ!公開時期を考えると狙ったとしか思えん。ただ、今からこれを雑誌に投稿しても、出版されるころにはワールドカップがとっくに終わっているのだが…。

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2005.07.13

実験家>理論家。

回転する卵が宙に浮くことを実験で検証に成功。とりあえず褒めてあげたい。1800rpmの回転に耐えた卵を。いや、もちろん実験も素晴らしい。何しろほとんど検証不可能だと思われていた訳だから。

こういう話を見るたびに、実験家というものは私のような三流理論屋の遥か上を行くものだと思い知らされる。昔走査型トンネル顕微鏡というものを知った時、「針の位置を原子サイズでコントロールしなきゃならないので、不可能なのでは?」と思ったものだった。実際にはそのとき既に走査型トンネル顕微鏡はバリバリ使われていた訳だが…。理論家が無理と思うことをやってしまう実験家には、全くかなわないと思う。

ちなみに私は大学4年のときに卒業研究実験をやりましたが、そのときのことはもう、思い出したくもありません。…だから余計に実験家は偉いと思うんだな。

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2005.07.12

気づかなければ、もっと幸せ。

学会の予稿を書いていて、書式について学会のWWWページを調べているうちに「文字のフォントはOSによらずMS明朝オアMSゴシックでね。違うフォントを使う場合はフォントをPDFに埋め込んでね」なる記述を発見してしまう(ちなみにこの記述、深くふかーくリンクを辿っていかないと発見できない)。MS明朝って言われたってLinuxにはそんなもん入ってないんですが。MacユーザーもOsakaフォントの方が美しいとか文句を垂れそうだなあ。とはいえこんな記述があるのに気づいてしまったので仕方ない。TeXから作ったPDFにフォントを埋め込む方法をこのへん参考にしながら試行錯誤。
朝から昼飯をはさみ2時前までかかってようやく成功。でも意外とこうして試行錯誤の末作ったPDFが、原稿を受け取った側では$A??!HL.=みたいな意味不明な文字列に見えたりして…オチとしてマジにありそうで怖い。

その後、とりあえず予稿を形にした後、自分の研究に関する先行論文をデータベースで検索。ちょっと掠りそうなのがあったので一瞬ヒヤッとする。先行論文に関しては、もし今、自分の研究と内容のかぶっている論文があることに気づかなければ、今は幸せなんだけど、最終的に不幸になっちゃうのよねぇ。

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