予言の当たる世界、当たらない世界。
本屋をぶらぶらとしていたら、最近はジュセリーノとかいう予言者の本が人気なのか、平積みになっている。
まったく、予言なんて、ソ連崩壊を当てた予言者がいないことを考えても当てにならないのは明白だろうに、と思いながらぱらぱらとめくってみると、『2008年のアメリカ大統領選はアル・ゴアが勝利』と書いてあってずっこけた。この本、出たのは今年の4月。もう完全に民主党候補はオバマとクリントンの一騎打ち状態で、アル・ゴアなんて影も形もない。商売的にはこの予言を削除して出版するのが正しいのだろうけれど、削除せずそのまま出してしまうあたりさすがたま出版。なんか憎めない。
ところで、予言なんて当たるはずないと思っているのだが、量子力学の世界にはエヴェレットの多世界解釈というのがある。極めて大雑把に言えば、我々の住む世界とは一つではなくて無限にあり、その無限にある世界ではあらゆる可能な現象が起きている、という説である。
これが正しいとすると、たとえば、ノストラダムスの大予言は私らの世界ではあんまり当たったとはいえないが、1999年に恐怖の大王とやらが降りてきて大予言が的中してしまった世界もある、ということだ。
で、ふと、『ノストラダムスの大予言がたまたま全部当たってしまった世界ってのはどんなんだろう?』と想像してみた。
きっとその世界にも科学者がいて、どうして大予言が当たったのかについて議論していたりするんだろう。
でも『たまたま当たった』なんて説は誰も認めてくれないだろうし、あれこれ理屈をつけるんだろうけれど、本当にたまたま当たっただけなので説明が上手くいかず、科学者は「ノストラダムスを説明できない役立たず」などと言われたりしているのに違いない。
…
……うーん、科学者の端くれとしては、やだなあ、多世界解釈。
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